こんにちは。
「宇宙は無重力である」とよく言われていますが、実はこれは間違いなのです。
今回は、以下のような疑問を持つ方に向けて、宇宙に重力はあるのかや、宇宙に重力がないと言われる理由などを紹介していきます。
- 宇宙に重力はあるのか知りたい
- 宇宙に重力がない理由を知りたい
- 重力を作ることはできるのか知りたい
- 無重力がどこから始まるのか知りたい

月の重力についても解説するよ~
宇宙に重力はある? 無重力ではない?「宇宙は無重力」は嘘?
「宇宙には重力がない」「宇宙は無重力」というイメージを持っている人は多いかもしれません。
しかし、これは厳密には間違いです。
宇宙にも重力は存在します。
地球を回っている月や人工衛星、国際宇宙ステーション(ISS)などが地球に引き寄せられていることからも、それは明らかです。
私たちが「無重力」と呼んでいる現象は、正確には「微小重力状態(マイクログラビティ)」です。
宇宙空間では重力が完全にゼロになるわけではありません。
例えば国際宇宙ステーションは、地表から約400km上空にありますが、そこでも地球の重力の約90%が働いています。
ではなぜ宇宙飛行士がふわふわと浮かんでいるのかというと、彼らは重力に引かれながら自由落下している状態にあるからです。
つまり、エレベーターが落下しているときの浮遊感がずっと続いているようなものです。
重力がないように見えるのは、地球の引力の影響が弱い場所にいるか、あるいは自由落下しているからです。
宇宙飛行士は地球に引き寄せられながらも、前方向の速度と引力のバランスで軌道上を回っているため、あたかも重力が消えたかのような状態になります。
宇宙に重力がない理由は?
まず、宇宙に重力がない理由ではなく、正しくは、「重力が弱くなる理由」です。
宇宙に重力がないのではなく、宇宙空間では、地球のような特定の天体から離れるほどその天体からの重力が弱まるため、無重力に近い状態になることがあるのです。
具体的には、地球から離れるほど、重力は距離の2乗に反比例して弱くなります(万有引力の法則)。
宇宙空間ではこの重力が極端に弱くなるため、重力が「ない」ように感じられるのです。
しかし、完全にゼロにはなりません。すべての天体は互いに引き合っているのが宇宙の基本なのです。
「月の重力は6分の1」って本当?

月の重力は地球の約6分の1です。
これは、月の質量が地球の81分の1、半径が3.7分の1と小さいためです。
重力は「質量が大きいほど強く、半径が小さいほど強く」なりますが、月は両方が小さいため、表面での重力も弱くなります。
その結果、月では体重60kgの人が約10kgに感じられるほど軽くなり、高くジャンプできたり、物がゆっくり落ちるようになります。
アポロ計画の映像で宇宙飛行士がふわふわ動いていたのは、月面で人間がジャンプすると高く跳ねたり、ゆっくり着地したりするのはこの弱い重力のためです。
ただし、これは「宇宙の重力」ではなく、あくまで「月の表面重力」の話です。
宇宙で重力を「作る」ことはできる?

実は、まだ実用化はされていませんが、人工的に「擬似重力」を作る方法があります。
最も現実的な方法は「遠心力(回転)」を利用することです。
宇宙空間では自然な重力はほとんどありませんが、重力のような力(擬似重力)を人工的に作ることは可能です。
もっとも現実的な方法は、宇宙船やステーションを回転させて遠心力を生み出すことです。
この遠心力が下に引っ張られる感覚を作り出し、地球の重力に近い環境を再現できます。
映画やSFアニメでよく見かける、回転する宇宙船の中で人が立って歩いているのはこの方法に基づいています。
回転によって遠心力を発生させ、その力を重力のように感じさせることができるのです。
また、宇宙船が一定の加速度で進むと、その逆方向に重力のような力が働きますが、燃料が大量に必要なため長時間の利用は困難です。

このような人工重力は、長期宇宙滞在時の健康維持に役立つと期待されているよ。
宇宙ステーションの重力と遠心力の関係
宇宙ステーションの「無重力」状態は、地球の重力と周回運動による遠心力が釣り合うことで生じます。
ステーションは常に地球に向かって落下しながらも、高速で周回することで地表に衝突せず、結果として内部では重力の影響がほとんど感じられない状態が保たれています。
また、現在の国際宇宙ステーションでは、遠心力による重力は使われていません。
そのため、飛行士たちは常に無重力状態で生活しています。
しかし将来的には、回転型の宇宙コロニーが開発されることで、遠心力を利用した人工重力が実現するかもしれません。
宇宙の「無重力状態」はどこから始まる?

宇宙空間の「無重力状態」は、実際には地球の重力と周回による遠心力が釣り合うことで生じる「無重量状態」です。
これは重力が存在しないわけではなく、力のバランスにより物体が浮いているように感じる現象です。
国際宇宙ステーション(ISS)で宇宙飛行士が浮かんで見えるのもこのためです。
万有引力の法則「F = G×mM/r^2」から分かるように、重力は距離の2乗に反比例して弱くなっていきますが、0になることは永遠にないのです。
地上でも放物線飛行や自由落下によって一時的に再現可能で、無重量下では体液の移動や平衡感覚の異常など人体への影響もあります。
明確な境界線はありませんが、一般的に高度100km以上の宇宙空間から「宇宙」と定義されます。
このあたりから大気の抵抗がほとんどなくなり、重力も弱くなり始めます。
とはいえ、先述のように、地球の重力の影響は何万km離れても完全には消えません。
まとめ
今回は、宇宙に重力はあるのかや、宇宙に重力がないと言われる理由などを紹介してきました。
今回紹介した内容を以下にまとめます。
- 宇宙にも重力はある。完全な「無重力」は存在しない
- 無重力は「微小重力」または「自由落下」による現象
- 月の重力は地球の約6分の1で、これを指して「宇宙の重力6分の1」と誤解されがち
- 人工的な重力(擬似重力)は遠心力で作ることが可能
- 無重力状態は高度100km以上から始まるが、重力は宇宙全体に広がっている
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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